年金受給額の計算方法|基礎年金・厚生年金・繰上げ繰下げの損益分岐点
老齢基礎年金と老齢厚生年金の計算式、繰上げ・繰下げ受給のメリットとデメリット、損益分岐点を解説します。
公的年金の仕組み
日本の公的年金は「2階建て」構造です。1階部分が全国民共通の国民年金(老齢基礎年金)、2階部分が会社員・公務員が加入する厚生年金(老齢厚生年金)です。
- 老齢基礎年金:20歳〜60歳の40年間(480ヶ月)保険料を納付すると満額。自営業・会社員・主婦とも対象
- 老齢厚生年金:会社員・公務員が給与に応じた保険料を納め、報酬比例で年金額が決まる
老齢基礎年金の計算式
老齢基礎年金 = 816,000円 ×(保険料納付月数 ÷ 480)
※ 2024年度の満額基準(67歳以下)
40年間すべて納付すると満額の年816,000円(月68,000円)です。未納期間がある場合は、その分が減額されます。免除期間は期間に応じた割合で反映されます。
老齢厚生年金の計算式
老齢厚生年金 = 平均標準報酬額 × 5.481/1000 × 加入月数
※ 2003年4月以降の加入期間の計算式
「平均標準報酬額」は、厚生年金に加入していた期間の月額報酬(賞与を含む)の平均です。
年収別の受給額目安
厚生年金に38年(456ヶ月)加入、国民年金は40年(480ヶ月)納付した場合の受給額目安です。
| 平均年収 | 厚生年金(年額) | 基礎年金 | 合計(月額) |
|---|---|---|---|
| 300万円 | 約63万円 | 約82万円 | 約12.0万円 |
| 400万円 | 約83万円 | 約82万円 | 約13.8万円 |
| 500万円 | 約104万円 | 約82万円 | 約15.5万円 |
| 600万円 | 約125万円 | 約82万円 | 約17.2万円 |
| 700万円 | 約146万円 | 約82万円 | 約19.0万円 |
| 800万円 | 約167万円 | 約82万円 | 約20.7万円 |
※ 厚生年金 = 平均年収÷12 × 5.481/1000 × 456ヶ月で計算。基礎年金は満額で計算。65歳開始の場合。
繰上げ受給と繰下げ受給
年金の受給開始年齢は原則65歳ですが、60歳〜75歳の間で選択できます。
| 受給開始 | 調整率 | 月額の変化(基礎年金満額の場合) |
|---|---|---|
| 60歳(繰上げ) | −24.0% | 約51,700円 |
| 63歳(繰上げ) | −9.6% | 約61,500円 |
| 65歳(標準) | ±0% | 68,000円 |
| 67歳(繰下げ) | +16.8% | 約79,400円 |
| 70歳(繰下げ) | +42.0% | 約96,600円 |
| 75歳(繰下げ) | +84.0% | 約125,100円 |
繰上げ・繰下げの損益分岐点
繰上げ・繰下げの選択では「何歳まで生きれば元が取れるか」が重要な判断基準です。累計受給額が65歳開始を上回る年齢の目安は以下のとおりです。
| 受給開始 | 65歳開始を上回る年齢 |
|---|---|
| 60歳開始 | 80歳10ヶ月ごろ |
| 63歳開始 | 83歳10ヶ月ごろ |
| 70歳開始 | 81歳10ヶ月ごろ |
| 75歳開始 | 86歳10ヶ月ごろ |
繰上げ受給は一度選択すると取り消せません。また、障害基礎年金を受給できなくなるなどの制約があります。繰下げは申請しなければ自動的に65歳から受給が始まるわけではなく、請求手続きが必要です。
よくある質問
- Q. 年金はいくらもらえる?平均は?
- 厚生労働省の統計(2022年度)によると、厚生年金受給者の平均月額は約14.4万円(基礎年金含む)、国民年金のみの受給者は平均月額約5.6万円です。個人差が大きいため、自分の加入状況で試算することをおすすめします。
- Q. 繰下げ受給は何歳まで可能?
- 最大75歳まで繰下げ可能です(2022年4月の制度改正で70歳から75歳に引き上げ)。75歳まで繰下げると年金額は84%増額されます。
- Q. 厚生年金に加入していない期間は?
- 厚生年金に加入していない期間(自営業の期間など)は老齢厚生年金の計算には含まれません。ただし国民年金の保険料を納付していれば、老齢基礎年金には反映されます。