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国民健康保険料の計算方法|所得割・均等割・賦課限度額をわかりやすく解説

国民健康保険料の計算方法を、3つの区分と4つの算定方式に分けてわかりやすく解説します。軽減制度や計算例も紹介します。

国民健康保険とは

国民健康保険(国保)は、自営業者・フリーランス・農業従事者・無職の方など、会社の健康保険(協会けんぽ・組合健保)や後期高齢者医療制度に加入していない方が対象となる公的医療保険制度です。市区町村が運営しており、保険料の計算方法や料率は自治体ごとに異なります。

医療機関の窓口で保険証を提示すると、原則として医療費の3割負担(70歳以上は2割または1割)で診療を受けることができます。会社を退職した方や、扶養から外れた方が加入するケースも多く、保険料の仕組みを理解しておくことが大切です。

保険料の3つの区分

国民健康保険料は、以下の3つの区分の合計で決まります。それぞれに賦課限度額(上限額)が設定されています。

区分目的対象者賦課限度額
医療分(基礎賦課分)医療費の財源全被保険者66万円
後期高齢者支援金分後期高齢者医療の支援全被保険者26万円
介護分(介護納付金分)介護保険の財源40〜64歳のみ17万円

2025年度の賦課限度額は、医療分66万円・後期高齢者支援金分26万円・介護分17万円の合計109万円です。所得が高くても保険料はこの上限を超えません。40歳未満または65歳以上の方は介護分が不要なため、上限は92万円となります。

保険料の算定方式

各区分の保険料は、以下の算定方式を組み合わせて計算されます。どの方式を採用するかは自治体によって異なります。

算定方式計算方法備考
所得割(前年所得 - 基礎控除43万円) × 所得割率所得に応じた負担
均等割被保険者1人あたりの定額人数に応じた負担
平等割1世帯あたりの定額ない自治体もある
資産割固定資産税額 × 資産割率ない自治体が多い

多くの自治体では「所得割 + 均等割」の2方式、または「所得割 + 均等割 + 平等割」の3方式を採用しています。資産割を採用する自治体は年々減少しています。

所得割の計算方法

所得割は保険料の中で最も大きな割合を占める部分です。前年の所得から基礎控除を差し引いた「算定基礎額」に、自治体ごとに定められた所得割率を掛けて算出します。

所得割額 = (前年の総所得金額等 - 基礎控除43万円) × 所得割率

所得割率は自治体によって大きく異なり、医療分で5%〜12%程度の幅があります。所得が基礎控除の43万円以下の場合、所得割は0円になります。

※ ここでの「所得」は、確定申告や住民税の申告で算出される「総所得金額等」です。事業所得や給与所得、不動産所得などを合算したものから、各種所得控除(社会保険料控除・医療費控除など)を差し引く前の金額です。

計算例:自営業・前年所得400万円・40歳・1人世帯

以下は東京都特別区の料率(2024年度)を参考にした計算例です。実際の料率は自治体ごとに異なります。

項目計算式金額
算定基礎額400万円 - 43万円(基礎控除)357万円
医療分・所得割357万円 × 7.16%約255,612円
医療分・均等割1人 × 42,100円42,100円
医療分 小計約297,712円
支援金分・所得割357万円 × 2.28%約81,396円
支援金分・均等割1人 × 13,200円13,200円
支援金分 小計約94,596円
介護分・所得割357万円 × 2.02%約72,114円
介護分・均等割1人 × 15,600円15,600円
介護分 小計約87,714円
年間保険料 合計約480,022円

この例では年間保険料は約48万円となります。月額に換算すると約4万円です。40歳未満の方は介護分が不要なため、年間約39万円(月額約3.3万円)になります。

※ 料率は東京都特別区(2024年度)の値を使用した概算です。お住まいの自治体の料率は市区町村の窓口またはウェブサイトでご確認ください。

均等割の軽減制度

世帯の前年所得が一定基準以下の場合、均等割(および平等割)が軽減されます。軽減は申請不要で、所得の申告をしていれば自動的に適用されます。

軽減割合世帯の前年所得の基準
7割軽減43万円 + 10万円 × (給与所得者等の数 - 1) 以下
5割軽減43万円 + 30.5万円 × 被保険者数 + 10万円 × (給与所得者等の数 - 1) 以下
2割軽減43万円 + 56万円 × 被保険者数 + 10万円 × (給与所得者等の数 - 1) 以下

「給与所得者等の数」とは、世帯内で給与所得または公的年金等所得がある方の人数です。1人の場合は「10万円×(1-1)=0」となるため、加算はありません。

※ 所得の申告をしていない場合は軽減が適用されません。収入がなかった方も住民税の申告を行うことで軽減を受けられます。

非自発的失業者の軽減

会社の倒産や解雇など、自分の意思によらず離職した方(非自発的失業者)は、国民健康保険料の軽減を受けることができます。離職日の翌日から翌年度末まで(最大2年間)、前年の給与所得を30/100(3割)とみなして保険料を算定します。

給与所得 × 30/100 で保険料を算定(最大2年間)

対象となるのは、雇用保険の「特定受給資格者」または「特定理由離職者」に該当する方です。雇用保険受給資格者証の離職理由コードが「11」「12」「21」「22」「23」「31」「32」「33」「34」のいずれかであれば対象となります。市区町村の窓口で雇用保険受給資格者証を提示して申請してください。

協会けんぽとの比較

会社員が加入する協会けんぽ(全国健康保険協会)と国民健康保険には、以下のような違いがあります。

比較項目国民健康保険協会けんぽ(会社員)
加入対象自営業・フリーランス・無職など会社員・公務員
保険料の負担全額自己負担会社と折半(実質半額)
扶養の概念なし(家族も1人ずつ保険料が発生)あり(扶養家族は保険料なし)
保険料の算定前年の所得に基づく標準報酬月額に基づく
出産手当金なしあり
傷病手当金なし(一部自治体で独自給付あり)あり

国民健康保険には扶養の概念がないため、配偶者や子どもも1人ずつ均等割がかかります。家族が多い世帯ほど保険料が高くなりやすいのが特徴です。一方、協会けんぽでは扶養家族が何人いても保険料は変わりません。

減免・猶予制度

以下のような事情がある場合、保険料の減免や猶予を受けられる場合があります。いずれも市区町村への申請が必要です。

  • 災害(震災・風水害・火災など)により財産に著しい損害を受けた場合
  • 失業・廃業・休業などにより所得が前年に比べて大幅に減少した場合
  • 長期入院などにより医療費の負担が著しく増加した場合
  • 生活保護を受けることになった場合(保険料は免除)

減免の基準や内容は自治体によって異なります。保険料の納付が困難な場合は、滞納する前にお住まいの市区町村の国民健康保険担当窓口に相談することをおすすめします。

よくある質問

Q. 国民健康保険料はどうやって計算されますか?
国民健康保険料は「医療分」「後期高齢者支援金分」「介護分(40〜64歳のみ)」の3区分の合計です。各区分は「所得割」「均等割」などの方式で算出され、料率は自治体ごとに異なります。所得割は(前年所得 - 基礎控除43万円)× 所得割率で計算します。
Q. 国民健康保険料と国民健康保険税の違いは何ですか?
保険「料」と保険「税」は名称が異なるだけで、計算方法や負担額はほぼ同じです。市区町村によって「保険料」方式か「保険税」方式かが異なります。保険税の方が時効が長い(5年)など法的な違いがありますが、加入者にとっての実質的な違いはほとんどありません。
Q. 会社を退職したら国民健康保険料はいくらになりますか?
退職後の国民健康保険料は前年の所得に基づいて計算されるため、在職中の所得が高いと保険料も高くなります。ただし、倒産・解雇など非自発的な離職の場合は、給与所得を30/100として算定する軽減措置があります。また、退職後2年間は任意継続被保険者として前の会社の健康保険に残る選択肢もあります。

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