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年末調整の仕組みと控除の種類|会社員が知っておくべき基礎知識

年末調整の仕組みと受けられる控除の種類をわかりやすく解説します。提出書類やスケジュールも紹介します。

年末調整とは

年末調整とは、会社(給与の支払者)が従業員の1年間の所得税を再計算し、毎月の給与から天引き(源泉徴収)された税額との過不足を精算する手続きです。毎月の源泉徴収額は扶養人数や給与額から概算で計算されているため、実際の年間税額とは差額が生じます。年末調整によってこの差額を調整し、多く払いすぎていた場合は還付、不足していた場合は追加徴収が行われます。

年末調整 = 1年間の正しい所得税額 − 源泉徴収済みの税額 の精算

多くの会社員にとって、年末調整は確定申告の代わりとなる重要な手続きです。各種控除を正しく申告することで、払いすぎた税金が還付されます。

年末調整の対象者

年末調整の対象となるのは、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を勤務先に提出している従業員です。正社員だけでなく、パート・アルバイトも対象になります。ただし、以下に該当する方は年末調整の対象外となり、確定申告が必要です。

  • 年収が2,000万円を超える方
  • 2か所以上から給与を受けている方(主たる給与以外の勤務先分)
  • 年の途中で退職し、再就職していない方
  • 扶養控除等申告書を提出していない方

年末調整で受けられる控除の一覧

年末調整では、以下の控除を申告することで所得税の計算に反映させることができます。

控除の種類控除額備考
基礎控除58万円(所得2,350万以下)2025・2026年分は所得に応じ最大95万円。2,350万超で段階的に減少、2,500万超で0円
配偶者控除最大38万円配偶者の合計所得48万円以下(給与収入103万円以下)
配偶者特別控除最大38万円配偶者の合計所得48万超〜133万円以下で段階的に適用
扶養控除38万〜63万円16歳以上の扶養親族が対象(年齢区分で金額が異なる)
生命保険料控除最大12万円一般・介護医療・個人年金の3区分(各最大4万円)
地震保険料控除最大5万円地震保険料の全額(上限5万円)
社会保険料控除全額健康保険・厚生年金・雇用保険等の支払額すべて
小規模企業共済等掛金控除全額iDeCo・小規模企業共済等の掛金
住宅ローン控除(2年目以降)年末残高×0.7%初年度は確定申告が必要
ひとり親控除35万円合計所得500万円以下のひとり親が対象
障害者控除27万〜75万円本人・配偶者・扶養親族が障害者の場合

主な控除の詳細

基礎控除

すべての納税者に適用される控除です。2025年度税制改正により、合計所得金額2,350万円以下の場合は58万円が控除されます(2027年分以降は一律58万円)。なお2025年分・2026年分は所得に応じて段階的に控除額が設定されており、合計所得132万円以下で最大95万円、336万円以下で88万円、489万円以下で68万円、2,350万円以下で58万円となります。2,350万円を超えると段階的に減少し、2,500万円超で0円となります。

配偶者控除・配偶者特別控除

配偶者の合計所得金額が48万円以下(給与収入のみなら103万円以下)の場合、配偶者控除として最大38万円が適用されます。配偶者の所得が48万円を超えても133万円以下であれば、配偶者特別控除が段階的に適用されます。なお、納税者本人の合計所得が1,000万円を超える場合はどちらの控除も受けられません。

扶養控除

16歳以上の扶養親族がいる場合に適用される控除です。年齢区分によって控除額が異なります。

区分対象年齢控除額
一般の扶養親族16歳以上19歳未満、23歳以上70歳未満38万円
特定扶養親族19歳以上23歳未満63万円
老人扶養親族(同居以外)70歳以上48万円
老人扶養親族(同居)70歳以上58万円

生命保険料控除

生命保険料控除は「一般生命保険料」「介護医療保険料」「個人年金保険料」の3区分に分かれています。それぞれ最大4万円、合計で最大12万円の控除が受けられます。年間の支払保険料が8万円を超えると、各区分の上限4万円に達します。

地震保険料控除

地震保険料の支払額が控除対象となり、最大5万円まで控除されます。火災保険は対象外ですが、地震保険は火災保険とセットで加入するため、地震保険部分の保険料が控除対象です。

社会保険料控除

健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料など、支払った社会保険料の全額が控除されます。給与天引き分は会社が自動的に計算しますが、国民年金の追納分や家族の国民健康保険料を支払った場合は申告が必要です。

小規模企業共済等掛金控除(iDeCo等)

iDeCo(個人型確定拠出年金)や小規模企業共済の掛金が全額控除されます。会社員の場合、iDeCoの掛金は月額最大2.3万円(企業年金なし)で、年間27.6万円の所得控除が受けられます。

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)

住宅ローンの年末残高に対して0.7%が税額から直接控除される制度です。初年度は確定申告が必要ですが、2年目以降は年末調整で控除を受けられます。会社に「住宅借入金等特別控除申告書」と「住宅ローン残高証明書」を提出します。

年末調整で受けられない控除

以下の控除は年末調整では申告できず、確定申告が必要です。

  • 医療費控除:年間の医療費が10万円(または所得の5%)を超えた場合に適用
  • 雑損控除:災害・盗難・横領による損失がある場合に適用
  • 寄附金控除:ふるさと納税(確定申告分)やその他の寄附金が対象
  • 住宅ローン控除の初年度:入居した年の翌年に確定申告が必要(2年目以降は年末調整で可)

※ ふるさと納税はワンストップ特例制度を利用すれば確定申告不要ですが、年末調整で申告するものではありません。

提出書類

年末調整では、主に以下の書類を会社に提出します。

1. 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

扶養親族の有無や障害者控除・ひとり親控除などを申告する書類です。すべての従業員が提出します。

2. 給与所得者の保険料控除申告書

生命保険料控除・地震保険料控除・社会保険料控除(給与天引き以外)・小規模企業共済等掛金控除を申告する書類です。各保険会社等から届く控除証明書を添付します。

3. 給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書

基礎控除・配偶者控除・配偶者特別控除の適用を受けるために必要な書類です。本人と配偶者の所得見積額を記入します。

4. 住宅借入金等特別控除申告書(該当者のみ)

住宅ローン控除の2年目以降に提出する書類です。税務署から届く申告書と、金融機関から届く残高証明書を添付します。

年末調整のスケジュール

年末調整の一般的なスケジュールは以下のとおりです。

時期やること
10月〜11月保険会社等から控除証明書が届く
11月頃会社から申告書類が配布される
11月中旬〜下旬申告書類に記入し、控除証明書を添付して会社に提出
12月〜1月会社が所得税を再計算し、過不足を精算(12月または1月の給与で調整)
翌年1月源泉徴収票が交付される

※ 具体的な提出期限は会社によって異なります。書類が届いたら早めに記入・提出しましょう。

よくある質問

Q. 年末調整で還付金はいつもらえますか?
一般的に12月または1月の給与と一緒に還付されます。会社によって時期は異なりますが、12月の給与明細に「年末調整還付金」として記載されるケースが多いです。
Q. 年末調整と確定申告の両方が必要な場合はありますか?
はい、あります。年末調整を受けた会社員でも、医療費控除やふるさと納税の確定申告分、副業の所得が20万円を超える場合などは、別途確定申告が必要です。年末調整で受けた控除はそのまま引き継がれます。
Q. 年末調整の書類を出し忘れたらどうなりますか?
提出期限に間に合わなかった場合、控除が適用されずに税金が多く計算される可能性があります。その場合は翌年の確定申告(還付申告)で控除を申告すれば、払いすぎた税金を還付してもらえます。還付申告は5年以内であれば提出可能です。

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